マグロのほほ肉は、一尾からほんの数百グラムしか取れない希少部位で、市場でも数量限定でしか流通しません。結論から言うと、脂がのった赤身とは違う「よく動かす筋肉ならではの弾力と旨み」が特徴で、塩焼きと照り煮のどちらでも主役級の美味しさを発揮します。今回は、なぜこの部位がここまで希少なのかという背景から、家庭で失敗なく美味しく仕上げるための焼き方・煮方のコツまで、私の経験を交えて解説します。
マグロのほほ肉が「幻の部位」と呼ばれる理由
マグロのほほ肉、いわゆる「カマ」の一部にあたる部位は、常に動かしている筋肉であるため筋繊維がしっかりしており、脂と赤身が複雑に入り混じった独特の食感を持っています。一尾のマグロから取れる量がごくわずかであることに加え、骨に沿った複雑な形をしているため、手作業で丁寧に切り出す必要があり、加工に手間がかかることも希少性の理由です。市場に出回る数が少ないため、扱っている鮮魚店や卸業者も限られており、「知る人ぞ知る部位」として扱われてきました。ただし近年は冷凍技術の向上で、産地から直接家庭向けに販売されるケースも増えており、以前よりは入手しやすくなっています。
塩焼きで旨みを引き出す焼き方
ほほ肉を塩焼きにする際のポイントは「強火の遠火」です。まずほほ肉に軽く塩を振り、10分ほど置いて余分な水分を出してからキッチンペーパーで拭き取ります。魚焼きグリルやフライパンをしっかり予熱し、皮目から先に焼き始めて香ばしい焼き色をつけたら、裏返して身側も焼き上げます。目安は片面3分ずつ程度ですが、厚みがある場合はアルミホイルをかぶせて蒸し焼きにすると、中までしっかり火が通りつつパサつきを防げます。焼き上がったらすだちやかぼすを絞ると、脂の旨みが引き立って一層美味しくいただけます。

照り煮でご飯に合う一品にする方法
ご飯のおかずにするなら照り煮がおすすめです。醤油・みりん・酒・砂糖を2:2:2:1の割合で合わせた煮汁を煮立て、ほほ肉を加えて中火で12〜15分、途中で煮汁をかけながら煮詰めていきます。ほほ肉は加熱してもあまり縮まないため、煮崩れの心配が少なく、初心者でも扱いやすい部位です。仕上げに煮汁を強火で少し煮詰めてとろみをつけ、ほほ肉全体にからめれば、照りのある見た目にも食欲をそそる一品が完成します。生姜の千切りを一緒に煮込むと、風味が引き締まりさらに美味しくなります。
ワンポイントアドバイス
ほほ肉を扱う際のワンポイントアドバイスは「筋の向きを確認してから切ること」です。ほほ肉は筋繊維が複雑に入り組んでいるため、繊維を断ち切る方向に包丁を入れないと、加熱後に硬く感じてしまうことがあります。購入時に大きな塊で届いた場合は、まず筋の流れを目で確認し、繊維を断つように一口大にカットしてから調理すると、驚くほど柔らかく仕上がります。

ほほ肉(カマ)にまつわる豆知識
マグロのほほ肉は、専門的には「カマ」と呼ばれるエラの下から胸びれ付近にかけての部位の一部にあたります。魚は絶えず口を動かしてエラ呼吸をしているため、ほほ肉は常に使われている筋肉であり、赤身よりも引き締まった食感を持つのが特徴です。ブリやサーモンのカマ焼きは比較的よく知られていますが、マグロのカマは一尾から取れる量が少ないため、専門的に扱う店でなければなかなかお目にかかれません。私が市場で働いていた頃、入荷したカマはあっという間に常連客に買われてしまい、一般の店頭に並ぶことはほとんどありませんでした。見かけたら迷わず購入することをおすすめします。
購入時に確認しておきたいこと
ほほ肉は入荷量が少ないため、通販サイトによっては数量限定・不定期入荷となっていることがあります。気になるショップがあれば、再入荷通知の設定をしておくと購入のタイミングを逃しにくくなります。また、届いた際の大きさにはばらつきがあるため、レシピの分量はあくまで目安として捉え、実際の重さを見ながら調味料の量を調整するのがコツです。冷凍で届いた場合は、冷蔵庫でじっくり解凍することで身の締まりを保てます。
よくある質問
ほほ肉はどこで購入できますか?
専門の鮮魚店や、マグロ加工業者の直販通販サイトで扱われていることが多いです。数量限定商品として販売されるケースもあるため、見かけたら早めの購入がおすすめです。
生で食べることはできますか?
新鮮なものであれば刺身としても食べられますが、筋がやや強いため、加熱して食感を柔らかくする調理法の方が家庭では扱いやすいです。
骨や筋が気になる場合はどうすればいいですか?
硬い筋の部分は包丁で薄くそぎ切りにするか、煮込み時間を長めに取ることで柔らかくなります。気になる筋を取り除いてから調理するのも一つの方法です。
ほほ肉は他の魚のカマと同じように扱えますか?
基本的な焼き方・煮方の考え方はブリやサーモンのカマと共通していますが、マグロのほほ肉は筋がやや強いため、繊維を断ち切る切り方を意識するとより柔らかく仕上がります。
まとめ
マグロのほほ肉は、一尾からほんの数百グラムしか取れない希少部位で、市場でも数量限定でしか流通しません。今回紹介した下処理のポイントと調理法を押さえておけば、これまで手を出しにくかった部位も、家庭で無理なく美味しく仕上げられるようになります。まずは今回紹介した調理法の中から一つ選んで、次の食卓でぜひ試してみてください。慣れてくれば、自分なりのアレンジにも挑戦しやすくなるはずです。
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