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かつお節・だしの取り方基本ガイド|プロが教える一番だしと二番だしの違い

「だしを一から取るなんて面倒くさそう」——正直に言うと、食品業界に入る前の私も同じことを思っていました。でもかつお節の選び方と一番だし・二番だしの取り方さえ覚えてしまえば、家庭料理の味は驚くほど変わります。この記事では、10年以上食品関連の営業として現場を見てきた私が、プロが実践しているかつお節の見極め方、一番だしと二番だしの違いと取り方、昆布との合わせだしのコツ、そしてだしを活かした料理例まで、体験談を交えながら具体的にお伝えします。読み終える頃には、今日の晩ごはんから「だしを取ってみようかな」と思えるはずです。

なぜ「だし」にこだわると料理が劇的に変わるのか

だしは和食の骨格そのものです。うま味成分であるイノシン酸(かつお節由来)とグルタミン酸(昆布由来)は、単体で使うよりも組み合わせることで相乗効果が生まれ、うま味が7〜8倍に跳ね上がることが分かっています。これは料亭の裏話でも何でもなく、うま味研究の世界では基本中の基本とされている現象です。

市販の顆粒だしが悪いわけではありません。時短にはとても便利ですし、私自身も忙しい日は頼っています。ただ、顆粒だしは塩分や添加物が調整されている分、素材そのものの香りや繊細な余韻は出しにくいのが実情です。取引先の料理人さんたちと話していて共通していたのは「一番だしを一度覚えると、素材の味の輪郭がはっきり分かるようになる」という感覚でした。だしを引く技術は、味覚を鍛える最短ルートでもあるのです。だからこそ、面倒に見えても一度は自分の手で取ってみる価値があります。

かつお節の選び方はここを見る

まず前提として、スーパーに並ぶかつお節には「花かつお」「厚削り」「本枯節(ほんかれぶし)」など種類があります。だし取り用途なら、香りと透明感のあるだしが出やすい本枯節、または血合い抜きの花かつおがおすすめです。

選び方のチェックポイント

  • 色味が鮮やかな薄いピンクベージュで、黒ずんでいないもの
  • 袋を開けたときにふわっと香ばしい香りが立つもの
  • 削り節が薄く均一で、粉状に潰れていないもの
  • 血合い(赤黒い部分)が少ない、または血合い抜き表記があるもの

血合いはコクが出る反面、雑味や生臭さの原因にもなります。上品な一番だしを取りたいときは血合い抜きを選び、こってりした二番だしや煮物のだしを取るときはあえて血合い入りを使う、という使い分けを営業時代に取引先の板前さんから教わりました。この使い分けを知っているだけで、だしの仕上がりは一段階変わります。

一番だしの取り方

一番だしは、椀物や茶碗蒸しなど、だしの香りと透明感を主役にしたい料理に使います。手順は次の通りです。

基本の一番だし(水1リットルあたり)

  1. 鍋に水1リットルと昆布10gを入れ、30分以上(できれば一晩)浸水させる
  2. 弱火にかけ、鍋底から小さな泡が出始める沸騰直前(60〜70度目安)で昆布を取り出す
  3. 強めの中火にして沸騰させ、火を止めてからかつお節を20〜30g入れる
  4. かき混ぜずに1〜2分置き、かつお節が沈んだらキッチンペーパーを敷いたザルで静かに濾す

ここでのコツは「絶対に絞らない」ことです。絞ると雑味やえぐみが出て、せっかくの透明感が台無しになります。私が初めて一番だしを取ったときはこれを知らずにギュッと絞ってしまい、渋みの強いだしになって先輩に苦笑いされた記憶があります。濾したあとの出がらしは捨てずに、次の二番だしに使いましょう。

二番だしの取り方と合わせだしのコツ

二番だしは一番だしを取った後の昆布とかつお節の出がらしを再利用して取るだしで、みそ汁や煮物、うどんつゆなど、こっくりした料理に向いています。

二番だしの手順

  1. 一番だしで使った昆布とかつお節の出がらしを鍋に戻す
  2. 水500ml〜1リットルを加え、中火で10分ほど煮出す
  3. 追いがつお(新しいかつお節を10g程度追加)すると香りが補強される
  4. 火を止めてキッチンペーパーを敷いたザルで濾す

昆布との合わせだしで失敗しやすいのは「昆布を煮立たせてしまう」ことです。昆布は沸騰させると独特のぬめりと磯臭さが出てしまうため、必ず沸騰直前で引き上げるのが鉄則です。私が営業で回っていた乾物問屋の担当者いわく、「昆布は"じっくり水に語りかける"くらいのつもりで扱うとうまくいく」とのことで、この表現が今でも印象に残っています。水出し(昆布を水に一晩浸けるだけ)でも十分に昆布のうま味は引き出せるので、朝が忙しい方は前夜に仕込んでおくのもおすすめです。

だしを活かした料理例

せっかく取っただしは、シンプルな料理ほど実力が分かります。まずは一番だしで「だし巻き卵」を作ってみてください。卵3個に対しだし大さじ3、薄口しょうゆ小さじ1、みりん小さじ1を混ぜて焼くだけですが、市販だしとの差は一口で分かるはずです。椀物なら、豆腐とわかめのお吸い物に一番だしを使い、塩と薄口しょうゆのみで味を調えると、だし本来の香りが引き立ちます。

二番だしは、豚汁や根菜の煮物、うどんつゆなど、味の濃い料理に使うと真価を発揮します。特におすすめなのが「二番だしで作る炊き込みご飯」です。米2合に対し二番だし360ml、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ1、酒大さじ1を合わせて具材と一緒に炊くだけで、料亭風の香り豊かな炊き込みご飯になります。私自身、週末に作り置きするローテーションにこのレシピを組み込んでいて、家族からも「外で食べるより美味しい」と言われるようになりました。

だしがらも無駄にしないのがプロの発想です。かつお節と昆布の出がらしはフライパンで乾煎りし、しょうゆ・みりん・砂糖で炒めれば、ごはんのお供になる佃煮風のふりかけに生まれ変わります。捨てるところがほとんどないのも、自分でだしを取る大きなメリットです。

まとめ

かつお節は色・香り・血合いの有無で選び、一番だしは「沸騰直前で昆布を引き上げ、絶対に絞らない」、二番だしは「出がらしを再利用し追いがつおで香りを補う」のが基本です。この2つの型さえ覚えれば、椀物から煮物まで幅広い料理の味が底上げされます。まずは休日に一度、一番だしを取ってだし巻き卵を作ってみてください。素材の力を実感できたら、次はぜひ二番だしで炊き込みご飯にも挑戦してみましょう。

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