この記事でわかること
いわしは骨が柔らかく、実は包丁を使わなくても手だけで開ける「手開き」ができる数少ない魚です。この記事では、営業時代に鮮魚担当のバイヤーから教わった手開きの手順を、初めての人でも失敗しないようにステップごとに解説します。慣れれば1尾30秒ほどで開けられるようになり、生姜煮やつみれなど、いわし料理全般の下処理がぐっと楽になります。特別な調理器具を用意する必要がなく、シンクの前で数分あれば下処理を終えられる手軽さも、いわし料理をもっと日常に取り入れたい方には嬉しいポイントです。
なぜ手開きがいわしに向いているのか
いわしは中骨が比較的太く柔らかい一方で、身自体は非常にデリケートで崩れやすいため、包丁でおろそうとすると身割れしやすいという弱点があります。手開きであれば、指の感覚で中骨の位置を確かめながら少しずつ身を開いていけるため、包丁の刃で余計に身を傷つけることがなく、結果として身崩れの少ないきれいな状態に仕上がります。また包丁とまな板を洗う手間も減るため、忙しい日の下処理を大幅に時短できるのも見逃せない利点です。

具体的な手順
まず頭を落とし、腹を親指の爪で切り開いて内臓を丁寧にかき出します。流水で腹の中の血合いまでしっかり洗い流したら、キッチンペーパーで水気を拭き取ります。次に、腹の切り込みから両手の親指を入れ、中骨に沿って左右に開くように身を押し広げていきます。中骨の付け根まで開いたら、尾のほうから中骨を持ち上げるようにして頭側に向かって引っ張ると、中骨と小骨がまとめて外れます。最後に腹側に残った小骨(腹骨)を指でなぞって取り除けば下処理は完了です。慣れないうちは水を張ったボウルの中で作業すると、身が滑りにくく開きやすくなります。
臭み抜きと保存のコツ
いわしは鮮度が落ちるのが早く、独特の生臭さが出やすい魚です。手開きした後、塩水(水500mlに塩小さじ1程度)でさっと洗ってから水気を拭き取ると、臭みの原因になるぬめりや余分な脂が落ち、風味がすっきりします。すぐに使わない場合は、1尾ずつラップに包んで冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いてから冷凍すれば2週間ほど保存できます。凍ったまま煮汁に入れて煮ることもできるので、生姜煮やつみれ汁の具として時短調理にも活用できます。手開きしたいわしをまとめて冷凍しておけば、買い物のたびに下処理をする必要がなくなり、思い立ったときにすぐ一品作れる態勢が整います。旬の時期にまとめて手開きしておくというのも、鮮度の良いいわしを無駄なく楽しむための実用的な工夫です。

現場から一言|いわしが「手間のかかる魚」と思われがちな理由
鮮魚担当のバイヤーと一緒に商談をしていた頃、いわしは価格の安さの割に家庭での調理が敬遠されやすい魚だという話をよく耳にしました。原因を突き詰めると、多くの人が「いわしは骨が多くて下処理が面倒」というイメージを持っているだけで、実際に手開きを試したことがない場合がほとんどでした。一度コツをつかんでしまえば包丁もまな板も使わず、洗い物も最小限で済むため、むしろ他の魚より手軽な下処理だと私は感じています。食わず嫌いならぬ「やらず嫌い」を一度乗り越えると、いわし料理の選択肢がぐっと広がります。私自身も最初は包丁を使わずに魚を開けるという発想に半信半疑でしたが、一度コツをつかんでからは、むしろ手開きのほうが早くて後片付けも楽だと感じるようになりました。子どもと一緒に台所に立つときも、包丁を使わない工程なら安全に手伝ってもらえるので、食育の一環として取り入れている家庭もあると聞きます。慣れれば数十秒の作業なので、まずは1尾だけでも試してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 手開きに向いていないいわしはありますか?
A. 鮮度が落ちて身が柔らかくなりすぎたものは崩れやすいため、できるだけ目が澄んでうろこがしっかり付いている新鮮なものを選ぶと作業しやすくなります。
Q. 手が生臭くなるのが気になります
A. 作業後にレモン汁か食器用洗剤で手を洗うと臭いが取れやすくなります。ゴム手袋を使うのも一つの方法です。
Q. 手開きしたいわしはそのまま刺身にできますか?
A. 鮮度がよほど良い場合を除き、家庭でのいわしの生食は避け、加熱調理を基本にすることをおすすめします。
Q. 冷凍のいわしでも手開きできますか?
A. 半解凍の状態であれば身が締まって扱いやすく、完全に解凍した状態よりもかえって作業しやすいことがあります。
Q. 手開きにかかる時間の目安は?
A. 慣れないうちは1尾1〜2分ほどかかりますが、繰り返すうちに30秒ほどで開けられるようになります。まとめて数尾処理する場合は、流れ作業にすると効率よく進められます。
まとめ
いわしの手開きは、コツさえ覚えれば包丁いらずで身崩れも少なく仕上げられる下処理方法です。臭み抜きの一手間を加えれば、生姜煮やつみれ汁など次のレシピもぐっと美味しく仕上がります。ぜひ挑戦してみてください。
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