この記事でわかること
おでんは大根や卵だけでなく、ちくわ・さつま揚げ・がんもどきなど、練り物の種類が豊富なのも魅力です。しかしこの練り物、そのまま鍋に入れてしまうと出汁が油っぽくなったり、味の染み込みが悪くなったりすることをご存知でしょうか。この記事では、食品業界で長年練り物メーカーとも取引をしてきた私が、具材別の下ごしらえのコツをまとめて解説します。結論は、「油を多く含む練り物は必ず油抜きをしてから鍋に入れる」ということです。この一手間で出汁の透明感と具材への味の染み込みが大きく変わります。
なぜ油抜きが必要なのか
さつま揚げやがんもどき、厚揚げなどの練り物・大豆加工品は、製造工程で揚げているため表面に油が付着しています。この油が出汁の中に残ったままだと、出汁全体が濁って油っぽくなるだけでなく、具材の表面が油の膜で覆われた状態になり、出汁の旨味が中まで染み込みにくくなってしまいます。

油抜きは、熱湯を回しかける、または軽く茹でることで表面の余分な油を落とす作業です。この工程を挟むことで出汁がクリアに保たれ、具材本来の風味と出汁の旨味の両方をしっかり感じられる仕上がりになります。
具材別・下ごしらえの具体的な方法
さつま揚げ・がんもどき・厚揚げは、ざるに並べて熱湯を回しかけるか、鍋で1〜2分さっと茹でて油抜きをします。表面が少し縮んだような質感になれば完了です。
ちくわは油をほとんど含まないため油抜きは不要ですが、味を染み込ませたい場合は斜めに切り込みを入れておくと出汁が入りやすくなります。
こんにゃく・しらたきは下茹でして臭みを抜き、こんにゃくは手でちぎるか隠し包丁を入れると味が染みやすくなります。
ちくわぶ(小麦粉から作られる練り物)は下茹での必要はありませんが、表面に浅く切り込みを入れておくと出汁の通りが良くなります。
牛すじは臭みが強いため、水からじっくり下茹でしてアクと臭みを丁寧に取り除いてから、別鍋で柔らかくなるまで下煮しておくのが基本です。この下ごしらえを飛ばすと、おでん全体の出汁に臭みが移ってしまうため注意が必要です。

すべての具材に共通するコツは、「下ごしらえした具材から先に出汁に入れ、味の染み込みにくいものほど早いタイミングで煮込む」という順番です。大根・牛すじ・卵は早めに、練り物は後半に入れると、それぞれが一番美味しいタイミングで味が仕上がります。
下ごしらえを済ませた具材の保存方法
下ごしらえを済ませた具材は、当日使わない分をまとめて保存袋に入れ、冷凍しておくと平日の調理がぐっと楽になります。特に牛すじの下煮や大根の下茹では時間がかかる工程なので、週末にまとめて仕込んでおくのがおすすめです。練り物は油抜きをした状態で冷凍すると、解凍後の味の染み込みも良くなります。
地域や商品による練り物の違い
練り物は地域によって使われる魚の種類や製法が異なります。西日本では「ちくわぶ」があまり馴染みがない一方、関東では定番の具材として親しまれています。九州や北陸では、あご(飛び魚)を使った練り物が名産として知られ、独特の風味が楽しめます。市販品を選ぶ際は、パッケージに記載された原材料表示を確認し、使われている魚の種類や配合を見比べてみると、地域ごとの個性を感じられて面白い発見があります。同じ「さつま揚げ」という名前でも、メーカーによって魚の配合や練り込む野菜の種類が異なるため、いくつか食べ比べてお気に入りを見つけるのもおでん作りの楽しみの一つです。
よくある質問
Q. 油抜きをしないとどうなりますか?
A. 出汁が油で濁り、風味が重たくなるほか、具材に味が染み込みにくくなります。
Q. すべての練り物に油抜きが必要ですか?
A. ちくわのように油をほとんど含まない具材は不要です。揚げてある具材かどうかで判断しましょう。
Q. 油抜き以外に注意すべき下ごしらえはありますか?
A. 練り物同士がくっつかないよう、鍋に入れる際は間隔を空けて並べることも大切です。特に煮込み時間が長くなるおでんでは、具材同士が密着していると熱の伝わり方にムラが出て、一部だけ煮崩れてしまうことがあります。
Q. 下ごしらえした具材はまとめて何日分作り置きできますか?
A. 冷蔵なら2〜3日、冷凍なら2〜3週間を目安に使い切るのがおすすめです。小分けにして保存しておくと、必要な分だけ取り出せて便利です。
🛒 この記事を読んだ方におすすめ
まとめ
おでんの具材は、それぞれの性質に合わせた下ごしらえを行うことで、出汁が濁らずクリアなまま、味の染み込みも格段に良くなります。特に油抜きは見落とされがちですが、味の完成度を大きく左右する重要な工程です。専門店が仕込んだ本格的なおでん種を試してみたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。